ぶ》つのです。其の打人《うちて》は打《たゝ》き役|小市《こいち》と云う人が上手です。此の人の打《う》つのは痛くって身体に障らんように打ちますが、刺青《ほりもの》のある者は何《ど》うしても強そうに見えるから苛《ひど》く打ちまして、弱そうな者は柔かに打《ぶ》ちます。亥太郎は少しも恐れないで「早く打《ぶ》ってお呉《く》んねえ」などと云い、脊中に猪の刺青が刺《ほ》ってあり、悪々《にく/\》しいからぴしーり/\と打《う》ちます。大概《たいがい》の者なら一百打つとうーんと云って死んで仕舞うから五十打つと気付けを飲まして、又|後《あと》を五十打つが、亥太郎は少しも痛がらんから、
獄吏「気付けを戴くか」
亥「気付なんざア入らねえ、さっさとやって仕舞ってくんねえ」
と云うから尚お強く打つが、少しも疲《よわ》りませんで、打って仕舞うとずーっと立って衣服《きもの》をぽん/\とはたいて、
亥「小市さん誠にお蔭様で肩の凝《こり》が癒《なお》りました」
と云ったが、脊中の刺青が腫《は》れまして猪《しゝ》が滅茶《めっちゃ》になりましたから、直ぐ帰りに刺青師《ほりものし》へ寄って熊に刺《ほり》かえて貰い、こ
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