ありましたから之《こ》れを借受け、造作をして袋物屋の見世を出しました。袋物屋と云うものは店が小さくても金目の物が置けますから好《い》い商売でございます。友之助は荷を脊負出《しょいだ》して出入先を歩く、宅《うち》にはお村が留守居ながら商売が出来ます。お村が十九で友之助が二十六ですから飯事《まゝごと》暮しをするようでございます。其の年も暮れ、翌年になり、安永九年二月の中旬《なかば》に、文治郎の母が成田山《なりたさん》へ参詣に参りますに就《つ》き、おかやと云う実の姪《めい》と清助《せいすけ》と云う近所の使早間《つかいはやま》をする者を供に連れて出立《しゅったつ》しました。跡には文治郎と森松の両人切《ふたりぎ》りで、男世帯に蛆《うじ》がわくという譬《たとえ》の通り台所なども手廻りませんで、お飯《まんま》を炊くと柔かくってお粥《かゆ》のようなのが出来たり、硬《こわ》くって焦げたのなどが出来たりします。友之助はお村に云い付けて、斯う云う時に御恩を返さなければならん、お前お菜《かず》を拵《こしら》えるのが面倒なら、料理屋から買《かっ》てゞもいゝから毎日何か旦那の所へ持っていってお上げ。と云うので毎日
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