を締めたから死ぬかと思って婆が驚きやアがった」
文「なアにあれは威《おど》したのサ、あゝ云う奴は懲《こら》さなければいかん、併《しか》し大分《だいぶ》空腹になった」
森「くうふく[#「くうふく」に傍点]てえなア何《な》んで」
文「腹が減ったから飯を喰おうと云う事よ、何処《どこ》か近い処にないか」
森「馬喰町《ばくろちょう》三丁目の田川《たがわ》へ往《い》きましょう」
と二人連れで馬喰町四丁目へ掛ると、其の頃|吉川《よしかわ》と申す居酒屋がありました。其の前へ来ると黒山のように人立《ひとだち》がしているのは、彼《か》の左官の亥太郎ですが、此の亥太郎は変った男で冬は柿色の※[#「※」は「「褞」で、「ころもへん」のかわりに「いとへん」をあてる」、97−3]袍《どてら》を着、夏は柿素《かきそ》の単物《ひとえもの》を着ていると云う妙な姿《なり》で、何処で飲んでも「おい左官の亥太郎だよ、銭は今度持って来るよ」と云うと、棟梁《とうりょう》さん宜しゅうございますと云って何処でも一文なしで酒を飲ませる。其の代りには堅いから十四日晦日に作料を取れば直ぐにチャンと払いまして、今度又借りて飲むよと云
前へ
次へ
全321ページ中122ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング