どうするのだ」
 文「何うもしない、手前のような強慾《ごうよく》非道な者を生かして置くと、生先《おいさき》長き両人の為にならん、手前一人を縊《くび》り殺して両人を助ける方が利方《りかた》だからナ、此の文治郎が縊り殺すから左様心得ろ」
 さ「あ痛《いた》た/\恐れ入りました、上げますよ/\、上げますから堪忍して下さい、娘の貰引《もらいひき》に咽《のど》を締る奴がありますか、軍鶏《しゃも》じゃアあるまいし、上げますよ」
 文「屹度《きっと》くれるか、これ/\森松、此の婆の云う事はグル/\変るから店受《たなうけ》か大屋を呼んで来い」
 と云うから森松は急いで大屋を呼んで来ました。
 大「道々御家来様から承りますれば、お村を助けて下すった其の御恩人の貴方様へ此の婆が何か分らんことを申すそうで、此奴《こいつ》は苛《ひど》い婆です、貴方様の御立腹は御尤《ごもっと》もの次第です」
 と此の家主《いえぬし》が中へ入りまして五十両の金子を渡しまして、娘を確かに友之助に嫁に遣ったと云う証文を取り、懐中へ入れて文治はお村の宅を出まして、
 文「森松|何《ど》うだ、苛《ひど》い婆だなア」
 森「苛い奴です、咽
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