たか知りませんが手を引いて下さい、私も亭主のある身で、姦通《まおとこ》でもしていると思われては困ります、私の亭主も男を売る商売ですから、どんなに怒《おこ》って私を女郎に売るか何だか知れません、亭主に対して打捨《うっちゃっ》て置けませんから手を引いておくんなさい」
文「そういうことをすりゃア御亭主が無理というもの、湯の中で何程の事が出来るものではない、それを怒って女郎にするのなんのと云えば、それ程大切な女房なら、入込みの湯へ遣《よこ》さなければいゝというようなものだから、まア/\そんな事を云わないで堪忍してやっておくんなさい」
浪「おい、何をいやアがるのだ、湯に遣そうが遣されめえがお前《めえ》の構った事じゃアねえ、生意気な事を云わねえで引込《ひっこ》んでろい」
文「ホイ/\堪忍しておくれ、私《わし》が粗忽を云いました」
浪「これさ、お前《めえ》なんだ生若《なまわけ》え身で耳抉《みゝっくじ》りを一本差しゃアがって、太神楽《だいかぐら》見たような態《ざま》をして生意気な事を云うねえお前《め》ッちゃア青二|才《せい》だ、鳥なら未《ま》だ雛児《ひよっこ》だ、手前達《てめえたち》に指図を受
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