れで僅《わず》か五両ばかりの小遣を貰って私が暮されると思いますかえ、お前さんは柳橋の相場を御存じがありませんからサ、朝戸を開ければ会の手拭の五六本も投げ込《こま》れて交際《つきあい》の張る事は知らないのだろう、お前さんじゃア分らないから、分る者をおよこしなさい、お村は直ぐに帰しておくれ」
 文「だがお母《っか》さん、五両と極めても当人が店を出して繁昌すれば、十両でも廿両でも多く上げられるようになるのが友之助の仕合せと申すもの、無理に二人の中を裂いて、又駈出して身でも投げると、却《かえ》ってお前さんの心配にもなるから、昨夜《ゆうべ》牛屋の雁木で心中したと思って諦めて下さい」
 さ「死んで見れば諦めるかもしれねえが、あのおむらが生きている中《うち》は上げられません、七歳《なゝつ》のときに金を出して貰い、芸を仕込んで今になってポーンと取られて堪《たま》るものかね、出来ません、お帰《けえ》しなすって下さい、いけ太《ぶて》い餓鬼だ、私を棄てゝ心中するなんて、そんな奴なら了簡があります、愚図々々すれば女郎《じょうろ》にでも打《たゝ》き売って金にして埋合《うめあわ》せをするのだ」
 文「それじゃア私
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