遣れません、唯《たっ》た一人の娘です、それを遣っては食うことに困ります」
 文「それは遣り切りではない、嫁にやるのだからお前さんは何処までも姑《しゅうと》だによって引取っても宜しいのだが、お前さんも斯う云う処に粋《すい》な商売をしている人だから、矢張り隠居役に芸者屋をして抱えでもして楽にお暮しなさい、其の手当として友之助の方からは一銭も出来ませんが、私の懐から金子五十両出して上げますから、それで抱えでもして気楽にお在《い》でなさる方が宜しかろうと考える、又|毎月《まいげつ》の小遣《こづかい》も多分は上げられないが、友之助に話して月々五両|宛《ずつ》送らせるようにするから何《ど》うか得心して下さい」
 さ「お気の毒だが出来ません、能く考えて下さい、何《なん》だとえお前さんなんぞは斯う云う掛合を御存じないのだねえ、お前さんは生若いお方だから、斯う云う中へ入ったことがないから知らないのだろうが、お村はこれから私が楽をする大事の金箱娘《かねばこむすめ》です、それを他所《よそ》へ遣って代りを置けなんて、流行《はや》るか流行らないか知れもしない者に芸を仕込んだり、いゝ着物を着せておかれるものか、そ
前へ 次へ
全321ページ中118ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング