売るとか旦那を取れとか、お前さんの厭な事をしろと云う訳はないから、それは私がどうか話を付けて上げよう、左様ではございませんか」
 田舎客「左様でがんすとも死のうと云うは甚《はなは》だ心得違い、若い身そらと云うは差迫りますと川などへ飛込んでおっ死《ち》んで仕舞うが、そんな駄目な事はがんせん、能く心を落付けてお頼み申すが宜《え》い」
 森松「本当です、お前は芸者じゃアないか、お前は芸者だから先が惚れたんだ、いゝかえ、己《うぬ》が勝手に主人の金を遣《つか》やアがって言い訳がないから死ぬのだが、それに附合《つきあ》って死ぬやつがあるものか、死んだ奴は自業自得《じごうじとく》だ、お前は身の上を旦那に頼んで極《きま》りを付けて仕舞って、跡へ残って死んだ人の為に線香の一本も上げねえ、ウンと云って仕舞いねえ、旦那に任せねえ」
 村「はい、有難う存じます、どうぞお母《ふくろ》の方さえ宜《よ》い様にして下されば、折角の御親切でございますから、私の身の上は貴所方《あなたがた》にお任せ申します」
 と云うのが耳に入ると、友之助は怒《おこ》ったの怒らないのじゃアない、借着の※[#「※」は「「褞」で「ころもへん」
前へ 次へ
全321ページ中104ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング