処《そこ》へ来てトン/\/\/\、
 友[#「友」は底本では「村」と誤記]「親方々々私だ明けておくんなさい/\、親方私だよ」
 親方「何方《どなた》です」
 友「私だよ」
 親「何方です」
 友「芝口《しばぐち》の紀伊國屋《きのくにや》の友之助ですよ」
 親「友さんお上りなさい、誠にお珍しゅうございます、おやどうなすった」
 友「もうねえ、余所《よそ》のねえ、知らない船宿から乗って上ろうとして船を退《ずら》かしたものだから川の中へ陥《おっ》こって、ビショ濡れで漸《ようや》く此の桟橋から上りました」
 親「まア怪《け》しからねえ奴だねえ、無闇とお客を落すなどゝは苛《ひど》い奴です、嘸《さぞ》お腹が立ちましたろう、何しろ着物を貸して上げましょう、風を引くといけません、何《なん》です紅《あか》い扱帯が垂下《ぶらさが》っていますねえ」
 友「船頭がこんな物を垂下げやがって、仕様のねえ奴です…親方、何《なん》でも宜しゅうございますが気の付くように飲まない口だが一杯出してお呉《く》んなさい」
 親「宜しゅうございます、おい己の※[#「※」は「「褞」で「ころもへん」のかわりに「いとへん」をあてる」、
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