いて友之助も飛びましたが、お村を突飛ばして力が抜けましたか、浪除杭の内へ飛込んだから死ねません、丁度深さは腰切《こしっきり》しかありませんから、横になって水をがば/\飲みましたが、苦しいから杭に縋《すが》って這上《はいあが》りますと、扱帯は解けて杭に纒《から》み、どう云う機《はず》みかお村の死骸が見えませんで、扱帯のみ残ったから、
友「おいお村/\、おいお村もう死骸が見えなくなったか、勘忍してくんな、己だけ死におくれたが、迚《とて》も此処じゃア死《しね》ねえから吾妻橋から飛込むから、今は退潮《ひきしお》か上汐《あげしお》か知らないが、潮に逆らっても吾妻橋まで来て待ってくんな、勘忍してくんな、死におくれたから」
と愚痴を云いながら漸《ようや》く堤《どて》を上《のぼ》りましたが、頭髪《あたま》は素《もと》より散《さん》ばらになって居り、月代《さかやき》を摺《す》りこわしたなりでひょろ/\しながら吾妻橋まで来たが、昼ならどのくらい人が驚くか知れません。其の時まだチラ/\提灯が見えて人通りがあるから、人目に懸ってはならんと云うので吾妻橋を渡り切ると、海老屋《えびや》という船宿があります。其
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