きし》る音《おと》だ、と仰《おつ》しやいましたが、随分《ずゐぶん》陰気《いんき》な物《もの》でございます。其御車《そのみくるま》に四頭の牛がついて居《を》ります。此牛《このうし》は蓮華班《れんげまだら》といひ、替牛《かへうし》が位牌班《ゐはいまだら》といふのがあり、天簾《あますだれ》といふ牛がある。どうも能《よ》くさういふ毛並《けなみ》の牛が出来《でき》たものでございますが、牛飼《うしかひ》さんに尋《たづ》ねると然《さ》ういふ牛は其《そ》の時に生《うま》れて出ると云《い》ひました、と京都《きやうと》の人が申《まうし》ました。御車《みくるま》の前《まへ》に糞《ふん》をするといかんといふので、黒胡麻《くろごま》を食べさせて糞《ふん》の出ないやうにするといふ、牛も骨の折れる事でございます。毎日々々|食《た》べ附《つ》けない黒胡麻《くろごま》を食《た》べて糞詰《ふんづま》りになるから牛が加減《かげん》が悪くなつて、御所内《ごしよない》の主殿寮《とのものれう》に牛小屋《うしごや》がありまして、其《そ》の中《なか》に寐《ね》て居《を》りますと、牛の仲間が見舞《みまひ》に参《まゐ》りました、といふお
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