音楽《おんがく》が聞《きこ》えますると松火《たいまつ》を点《つ》けて参《まゐ》りますが、松火《たいまつ》をモウ些《ちと》欲《ほ》しいと存《ぞん》じましたが、どうもトツプリ日《ひ》が暮《く》れて来《く》る、電気《でんき》は四ツ角《かど》に点《つ》いて居《を》りますのだから幽《かす》かに此方《こちら》へ映《うつ》りまする、松火《たいまつ》は所々《しよ/\》にあるのでございますからハツキリとは見えませんが、何《なん》でも旗が二十本ばかり参《まゐ》つたと思ひました。皆《みな》白錦《しろにしき》の御旗《みはた》でございます。剣《つるぎ》の様《やう》なものも幾《いく》らも参《まゐ》りました。其《そ》の中《うち》に御車《みくるま》を曳出《ひきだ》して参《まゐ》りまするを見ますると、皆《みな》京都《きやうと》の人は柏手《かしはで》を打ちながら涙を飜《こぼ》して居《を》りました。処《ところ》へ風《かぜ》を冐《ひ》いた人が常磐津《ときはづ》を語るやうな声《こゑ》でオー/\といひますから、何《なん》だかと思《おも》つて側《そば》の人に聞きましたら、彼《あ》れは泣車《なきぐるま》といつて御車《みくるま》の軌《
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