見《み》えるが人家《じんか》があるのだらう。雪を踏《ふ》み分《わ》け/\それに近《ちか》よりまして○「御免《ごめん》なさいまし。女「どなたです。○「私《わたし》は身延山《みのぶさん》へ参詣《さんけい》に参《まゐ》つた者ですが、雪の為《た》めに難渋《なんじふ》して宿屋《やどや》もなにもないやうでございますが、まことに何《ど》うも御厄介《ごやくかい》でございませうが今晩《こんばん》たゞ夜《よ》を明《あか》す丈《だ》けでよろしうございます、何《ど》うか御厄介《ごやくかい》になりたいものでございますが、如何《いかゞ》でございませう。女「それはお気の毒さまですねえ、お入《はい》んなさいまし、別に御馳走《ごちそう》と云《い》ふものはありませんが、そこは開《あ》きますからお入《はい》んなさい。○「はい有難《ありがた》うございます。笠《かさ》を脱《と》つて雪を払《はら》ひ内《うち》に入《はい》ると、女「囲炉裡《ゐろり》に焚火《たきび》をしてお当《あた》んなさいまし、お困《こま》んなすつたらう此雪《このゆき》では、もう此近《このちかく》は辺僻《へんぴ》でございまして御馳走《ごちそう》するものもございませ
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