せか/\している者だから御挨拶する間《ま》もありはしません、殿様、御機嫌|様《さま》よう入《いら》っしゃいました」
飯「これは婆《ばあ》やア、お徳様が長い間《あいだ》御病気の所、早速の御全快誠にお目でたい、お前も心配したろう」
婆「お蔭様《かげさま》で、私《わたくし》はお嬢様のお少《ちい》さい時分からお側にいて、お気性も知って居りますのに何《なん》とも仰しゃらず、漸《やっ》と此の間分ったので殿様に御苦労をかけました、誠に有がとうございます」
相「善藏はまだ帰らないか、長いなア、お菓子を持って来い、殿様御案内の通り手狭でございますから、何かちょっと尾頭附《おかしらつき》で一|献《こん》差上げたいが、まアお聞き下さい、此の通り手狭ですからお座敷を別にする事も出来ませんから、孝助殿も此処《こゝ》へ一緒にいたし、今日は無礼講《ぶれいこう》で御家来でなく、どうか御同席で御酒《ごしゅ》を上げたい、孝助は私《わたくし》が出迎えます」
飯「なに私《わたくし》が呼びましょう」
相「ナアニあれは私《わたくし》の大事な聟で、死水《しにみず》を取ってもらう大事な養子だから」
と立上《たちあが》り、玄関まで出
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