お粥《かゆ》を二膳半食べました、それから今日はナ娘がずっと気分が癒《なお》って、お父様こんなに見苦しい形《なり》でいては、孝助さまに愛想《あいそう》を尽かされるといけませんからというので、化粧をする、婆アもお鉄漿《はぐろ》を附けるやら大変です、私《わたくし》も最早《もはや》五十五歳ゆえ早く養子をして楽がしたいものですから、誠に耻入った次第でございますが、早速《さっそく》のお聞済《きゝず》み、誠に有難う存じます」
飯「あれから孝助に話しましたところ、当人も大層に悦び、私《わたくし》の様な不束者《ふつゝかもの》をそれ程までに思召《おぼしめ》し下さるとは冥加至極《みょうがしごく》と申してナ、大概《あらかた》当人も得心いたした様子でな」
相「いやもう、あの人は忠義だから否《いや》でも殿様の仰しゃる事なら唯《はい》と云って言う事を聞きます、あの位な忠義な人はない、旗下《はたもと》八万騎の多い中にも恐らくはあの位な者は一人もありますまい、娘がそれを見込みましたのだ、善藏はまだ帰らないか、これ婆ア」
婆「なんでございます」
相「殿様に御挨拶をしないか」
婆「御挨拶をしようと思っても、貴方《あなた》が
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