迎え、
相「孝助殿誠に宜《よ》く、いつもお健《すこやか》に御奉公、今日はナ無礼講で、殿様の側で御酒、イヤなに酒は呑めないから御膳を一寸《ちょっと》上げたい」
孝「是は相川様御機嫌よろしゅう、承ればお嬢様は御不快の御様子、少しはお宜《よろ》しゅうございますか」
相「何を云うのだお前の女房をお嬢様だのお宜しいもないものだ」
飯「そんな事を云うと孝助が間《ま》を悪《わ》るがります、孝助折角の思召《おぼしめ》し、御免を蒙《こうむ》って此方《こちら》へ来い」
相「成程立派な男で、中々フウ、へえ、さて昨日は殿様に御無理を願い早速お聞済《きゝず》み下さいましたが、高《たか》は寡《すく》なし娘は不束《ふつゝか》なり、舅《しゅうと》は知っての通りの粗忽者《そこつもの》、実に何《なん》と云って取る所はないだろうが、娘がお前でなければならないと煩《わずら》う迄に思い詰めたというと、浮気なようだが然《そ》うではない、あれが七歳《なゝつ》の時母が死んで、それから十八まで私《わし》が育《そだ》った者だから、あれも一人の親だと大事に思い、お前の心がけのよい、優しく忠義な所を見て思い詰め病となった程だ、どうかあんな奴
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