《いやき》になり、話が縺《もつ》れて、今度は到頭《とうとう》孝助が相川の養子になる事に極《きま》り、今日結納の取交《とりかわ》せだとよ、向うでは草履取でさえ欲しがるところだから、手前なれば真鍮《しんちゅう》でも二本さす身だから、きっと宜《よ》かったに違いはない、孝助は憎い奴だ」
相「なんですと、孝助が養子になると、憎《にッ》こい奴でごじいます、人の恋路《こいじ》の邪魔をすればッて、私《わたくし》が盗人根性があって、お負けに御主人の頭を打《にや》すと、何時《いつ》私が御主人の頭を打しました」
源「己《おれ》に理窟を云っても仕方がない」
相「残念、腹が立ちますよ、憎《にッ》こい孝助だ。只《たゞ》置きましねえ」
源「喧嘩しろ/\」
相「喧嘩しては叶《かな》いましねえ、彼奴《あいつ》は剣術《きんじゅつ》が免許《みんきょ》だから剣術は迚《とて》も及びましねえ」
源「それじゃア田中《たなか》の中間《ちゅうげん》の喧嘩の龜藏《かめぞう》という奴で、身体中|疵《きず》だらけの奴がいるだろう、彼《あれ》と藤田《ふじた》の時藏《ときぞう》と両人《ふたり》に鼻薬をやって頼み、貴様と三人で、明日《あした》孝助
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