が相川の屋敷から一人で出て来る所を、大曲りで打殺《ぶちころ》しても構わないから、ぽか/\擲《なぐ》りにして川へ投《ほう》りこめ」
相「殺すのは可愛相《かわいそう》だが、打《にや》してやりてえなア、だが喧嘩をした事が知れゝば何《ど》うなりますか」
源「そうさ、喧嘩をした事が知れゝば、己《おれ》が兄上にそう云うと、兄上は屹度《きっと》不届《ふとゞき》な奴、相助を暇《いとま》にしてしまうと仰しゃってお暇に成るだろう」
相「お暇に成っては詰《つま》りましねえ、止《よ》しましょう」
源「だがのう、此方《こちら》で貴様に暇を出せば、隣でも義理だから孝助に暇を出すに違いない、彼奴《あいつ》が暇になれば相川でも孝助は里がないから養子に貰う気遣《きづか》いはない、其の内此方では手前を先へ呼返《よびかえ》して相川へ養子にやる積《つもり》だ」
相「誠にお前様《めえさま》、御親切が恐れ入り奉ります」
というから、源次郎は懐中より金子《きんす》若干《いくらか》を取出し、
源「金子をやるから龜藏たちと一杯呑んでくれ」
相「これははや金子《けんす》まで、これ戴いてはすみましねえ、折角の思召《おぼしめ》しだから頂戴
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