り》で先へ帰る訳には出来まいか」
國「それは訳なく出来ますとも、私《わたくし》が殿様に用がありますから先へ帰して下さいましといえば、屹度《きっと》先へ帰して下さるに違いはありませんから、大曲《おおまが》りあたりで待伏《まちぶ》せて彼奴《あいつ》をぽか/\お擲《なぐ》りなさい」
大声を出して、
國「誠におそう/\様で、左様なら」
源次郎は屋敷に帰ると直《すぐ》に男部屋へ参ると、相助は少し愚者《おろかもの》で、鼻歌でデロレンなどを唄っている所へ源次郎が来て、
源「相助、大層精が出るのう」
相「オヤ御二男《ごじなん》様、誠に日々お熱い事でございます、当年は別してお熱いことで」
源「熱いのう、其方《そち》は感心な奴だと常々兄上も褒《ほ》めていらっしゃる、主用《しゅよう》がなければ自用《じよう》を足し、少しも身体に隙《すき》のない男だと仰しゃっている、それに手前は国に別段|親族《みより》もない事だから、当家が里になり、大した所ではないが相応な侍の家《うち》へ養子にやる積りだよ」
相「恐れ入ります、何《なん》ともはや誠にどうも恐れ入りますなア、殿様と申し貴方《あなた》と申し、不束《ふつゝか》な
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