《ごきんじゅ》の方々を皆遠ざけて戴きとう存じます」
飯「左様か宜《よろ》しい、皆あちらへ参り、此方《こちら》へ参らん様にするが宜しい、シテ何《ど》ういうことで」
相「さて殿様、今日|態々《わざ/\》出ましたは折入って殿様にお願い申したいは娘の病気の事に就《つい》て出ましたが、御存じの通り彼《か》れの病気も永い事で、私《わたくし》も種々《いろ/\》と心配いたしましたけれども、病の様子が判然《はっきり》と解りませんでしたが、よう/\ナ昨晩当人が私《わたくし》の病は実は是々《これ/\》の訳だと申しましたから、なぜ早く云わん、けしからん奴だ、不孝ものであると小言は申しましたが、彼《あ》れは七歳の時母に別れ今年十八まで男の手に丹誠して育てましたにより、あの通りの初心《うぶ》な奴で何もかも知らん奴だから、そこが親馬鹿の譬《たとえ》の通りですが、殿様訳をお話し申してもお笑い下さるな、お蔑《さげす》み下さるな」
飯「どういう御病気で」
相「手前一人の娘でございますから、早くナ婿《むこ》でも貰い、楽隠居がしたいと思い、日頃信心|気《け》のない私《わたくし》なれども、娘の病気を治そうと思い、夏とは云いなが
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