がお亡くなり遊ばしたといいましたが、私の考えでは、貴方様はお人がよいものだから旨く瞞《だま》したのです、お嬢様はお邸《やしき》に入らっしゃっても貴方の事|計《ばか》り思って入らっしゃるものだから、つい口に出て迂濶《うっか》りと、貴方の事を仰しゃるのが、ちら/\と御親父様《ごしんぷさま》のお耳にもはいり、又内にはお國という悪い妾がいるものですから邪魔を入れて、志丈に死んだと云わせ、互《たがい》に諦めさせようと、國の畜生がした事に違いはありませんよ、貴方がお亡くなり遊ばしたという事をお聞き遊ばして、お嬢様はおいとしいこと、剃髪《ていはつ》して尼に成ってしまうと仰しゃいますゆえ、そんな事を成すっては大変ですから、心でさえ尼に成った気で入らっしゃれば宜《よろ》しいと申上げて置きましたが、それでは志丈にそんな事をいわせ、互に諦めさせて置いて、お嬢さまに婿《むこ》を取れと御親父さまから仰しゃるのを、お嬢様は、婿は取りませんからどうかお宅《うち》には夫婦養子をしてくださいまし、そして他《ほか》へ縁付くのも否《いや》だと強情をお張り遊ばしたものですから、お宅が大層に揉めて、親御《おやご》さまがそんなら
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