命にかゝわる事ですから口外する気遣《きづか》いはありません、それから貴方はお邸《やしき》へお帰りになって、知らん顔でいて、お兄様《あにいさま》に隣家《となり》では家督《かとく》がないから早く養子に遣《や》ってくれ/\と仰しゃれば、此方《こなた》は別に御親類もないからお頭《かしら》に話を致し、貴方を御養子のお届けを致しますまでは、殿様は御病気の届けを致して置いて、貴方の家督相続が済みましてから、殿様の死去のお届を致せば、貴方は此家《こちら》の御養子様、そうすると私《わたくし》は何時《いつ》までも貴方の側に粘《へば》り附いていて動きません、此方《こちら》の家《うち》は貴方のお家より、余程《よっぽど》大尽《だいじん》ですから、召物《めしもの》でもお腰のものでも結構なのが沢山ありますよ」
源「これは旨い趣向だ、考えたね」
國「私《わたくし》は三日三晩寝ずに考えましたよ」
源「是は至極《しごく》宜《よろ》しい、どうも宜しい」
と源次郎は慾張《よくばり》と助平《すけべい》とが合併して乗気《のりき》に成り、両人がひそ/\語り合っているを、忠義無類の孝助という草履取が、御門《ごもん》の男部屋に紙帳《
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