はお下手《へた》だが、よく殿様と一緒に釣《つり》にいらっしゃいましょう、アノ来月四日はたしか中川へ釣にいらっしゃるお約束がありましょう、其の時殿様を船から川の中へ突落《つきおと》して殺しておしまいなさいよ」
源「成程伯父さんは水練《すいれん》を御存じないが、矢張り船頭がいるからいけないよ」
國「船頭を斬ってお仕舞い遊ばせな、なんぼ貴方が剣術がお下手でも、船頭ぐらいは斬れましょう」
源「それは斬れますとも」
國「殿様が落ちたというので、貴方は立腹して、早く探させてはいけませんよ、いろ/\理窟《りくつ》をなが/\と二時《ふたとき》ばかりも言っていてそれから船頭に探させ、死骸を船に揚《あ》げてから不届《ふとゞき》な奴だといって船頭を斬ってお仕舞いなさい、それから帰り路《みち》に船宿《ふなやど》に寄って、船頭が麁相《そそう》で殿様を川へ落し、殿様は死去されたれば、手前は言訳《いいわけ》がないから船頭は其の場で手打《てうち》に致したが、船頭ばかりでは相済まんぞ、亭主其の方も斬って仕舞うのだが、内分《ないぶん》で済ませて遣《つか》わすにより、此の事は決して口外致すなと仰しゃれば、船宿の亭主も自分の
前へ 次へ
全308ページ中46ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング