す、是からはお剣術を教えて戴《いたゞ》き、覚えました上は、それこそ死にもの狂いに成って親の敵《かたき》を討ちますから、どうぞ剣術を教えて下さいませ」
平「孝心な者じゃ、教えてやるが手前は親の敵《かたき》を討つというが、敵の面体《めんてい》を知らんで居て、相手は立派な剣術遣《けんじゅつつかい》で、もし今|己《おれ》が手前の敵だと云ってみす/\鼻の先へ敵が出たら其の時は手前どうするか」
孝「困りますな、みす/\鼻の先へ敵《かたき》が出れば仕方がございませんから、立派な侍でも何《なん》でもかまいません、飛《とび》ついて喉笛《のどぶえ》でも喰い取ってやります」
平「気性《きしょう》な奴だ、心配いたすな、若《も》し敵《かたき》の知れた其の時は、此の飯島が助太刀《すけだち》をして敵を屹度《きっと》討たせてやるから、心丈夫に身を厭《いと》い、随分大切に奉公をしろ」
孝「殿様本当にあなた様が助太刀をして下さいますか、有難う存じます、殿様がお助太刀をして下さいますれば、敵《かたき》の十人位は出て参りましても大丈夫です、あゝ有難うございます、有難うございます」
平「己《おれ》が助太刀をしてやるのをそれ程ま
前へ
次へ
全308ページ中32ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング