お國と密通している所へ、此の孝助が参って手前と争った所が、手前は主人の手紙を出し、それを証拠だと云って、よくも孝助を弓の折《おれ》で打《ぶ》ったな、それのみならず主人を殺し、両人《ふたり》乗込んで飯島の家を自儘《じまゝ》にしようと云う人非人《にんぴにん》、今こそ思い知ったか」
 と云いながら栗の根株へ両人《ふたり》の顔を擦付《すりつ》けますから、両人とも泣きながら、
「免《ゆる》せえ、堪忍しておくんなさいよう」
 というのを耳にも掛けず、
孝「これお國、手前はお母様《っかさま》が義理をもって逃がして下すったのは、樋口屋の位牌へ対して済まんと道まで教えて下すったなれども、自害をなすったも手前故だ、唯《たった》一人の母親をよくも殺しおったな、主人の敵親の敵、なぶり殺しにするから左様心得ろ」
 と、これから差添《さしぞえ》を抜きまして、
孝「手前のような悪人に旦那様が欺《だま》されておいでなすったかと思うと」
 といいながら顔を縦横《たてよこ》ズタ/\に切りまして、又源次郎に向い、
孝「やい源次郎、此の口で悪口《あっこう》を云ったか」
 とこれも同じくズタ/\に切りまして、又母の懐剣で止《と
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