る内に御覧にお入れなさい、早く/\」
と云うから孝助は泣きながら、
孝「はい/\お母様、五郎三郎さんがお國と源次郎の逃げた道を教えて呉れましたから、遠く逃げんうちに跡追っかけ、両人《ふたり》の首を討ってお目にかけます」
という声|漸《ようや》く耳に通じ、
母「ホッ/\勇ましい其の言葉|何《ど》うか早く敵を討って御主人様のお家《いえ》をたてゝ、立派な人に成って呉れホッ/\、五郎三郎殿此の孝助は外《ほか》に兄弟もない身の上、また五郎三郎殿も一粒種だから、これで敵は敵として、これからは何うか実の兄弟と思い、互に力になり合って私の菩提を頼みますヨウ/\」
と云いながら、孝助と五郎三郎の手を取って引き寄せますから、両人《ふたり》は泣く/\介抱するうちに次第々々に声も細り、苦しき声で、
母「ホッ/\早く行《ゆ》かんか/\」
と云って血のある懐剣を引き抜いて、
「さア源次郎お國は此の懐剣で止《とゞ》めを刺せ」
と云いたいがもう云えない。孝助は懐剣を受取り、血を拭い、敵を討って立帰り、お母様に御覧に入れたいが、此の分では之《こ》れがお顔の見納めだろうと、心の中《うち》で念仏を唱え、
孝「五郎
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