実母であるとよ、此の間母が江戸見物に行った時孝助に廻《めぐ》り逢い、悉《くわ》しい様子を孝助から残らず母が聞取り、手引をして我を打たせんと宇都宮へ連れては来たが、義理堅い女だから、亡父五兵衞の位牌へ対してお國を討たしては済まないという所で、路銀まで貰い、斯《こ》うやって立たせてはくれたものゝ、其処《そこ》は血肉を分けた親子の間、事によると後《あと》から追掛けさせ、やって来《き》まいものでもないが、何《ど》うしてか手前《てめえ》らが加勢して孝助を殺してくれゝば、多分の礼は出来ないが、二十金やろうじゃないか」
龜「宜しゅうございやす、随分やッつけましょう」
相「龜藏|安受合《やすうけあい》するなよ、彼奴《あいつ》と大曲で喧嘩した時、大溝《おおどぶ》の中へ放り込まれ、水を喰《くら》ってよう/\逃帰ったくらい、彼奴ア途方もなく剣術が旨いから、迂濶《うっか》り打《たゝ》き合うと叶《かな》やアしない」
龜「それは又工夫がある、鉄砲じゃア仕様があるめえ、十郎ヶ峰あたりへ待受け、源さまは清水流れの石橋の下へ隠れて居て、己達《おらたち》ゃア林の間に身を隠している所へ、孝助がやって来《く》りゃア、橋を渡り
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