弱い奴ばっかりですから、今日もうっかり源様と知らず掛かりましたが、貴方に抜かれりゃアおッ切られてしまう処、誠になんともはや」
源「これ龜藏、手前も泥坊をするのか」
龜「へい雲助をしていやしたが、ろくな酒も飲めねえから太く短くやッつけろと、今では斯《こん》な事をしておりやす」
と云われ、源次郎は暫《しば》し小首を傾《かた》げて居りましたが、
「好《い》い所で手前達に逢うた、手前達も飯島の孝助には遺恨があろうな」
龜「えゝ、ある所じゃアありやせん、川の中へ放り込まれ、石で頭を打裂《ぶっさ》き、相助と二人ながら大曲りでは酷《ひど》い目に逢い、這々《ほう/\》の体《てい》で逃げ返った処が、此方《こっち》はお暇《いとま》、孝助はぬくぬくと奉公しているというのだ、今でも口惜しくって堪《たま》りませんが、彼奴《あいつ》はどうしました」
源「誰《たれ》も外《ほか》に聞いている者はなかろうな」
相「へい誰《たれ》がいるものですか」
源「此の國の兄の宅《たく》は杉原町の越後屋五郎三郎だから、暫《しばら》く彼処《あすこ》に匿《かく》まわれていたところ、母というのは義理ある後妻だが、不思議な事でそれが孝助の
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