て、最早七年居ますが、つい先達《せんだっ》てお國が源次郎と云う人を連れて来ていうのには、私が牛込の或るお屋敷へ奥様附で行った所が、若気の至りに源次郎様と不義|私通《いたずら》ゆえに此のお方は御勘当となり、私《わたくし》故に今は路頭に迷う身の上だから、誠に済まない事だが匿《かく》まってくれろと云って、そんな人を殺した事なんぞは何とも云わないから、源次郎への義理に今は宇都宮の私の内にいるよ、私は此の間五郎三郎から小遣《こづかい》を貰い、江戸見物に出掛けて来て、未だこちらへ着いて間も無くお前に巡り逢って、此の事が知れるとは何たら事だねえ」
孝「ではお國源次郎は宇都宮に居りますか、つい鼻の先に居ることも知らないで、越後の方から能登へかけ尋ねあぐんで帰ったとは、誠に残念な事でございますから、どうぞお母様がお手引をして下すって、仇を討ち、主人の家の立行《たちゆ》くように致したいものでございます」
りゑ「それは手引をして上げようともサ、そんなら私は直《すぐ》にこれから宇都宮へ帰るから、お前は一緒にお出《い》で、だがこゝに一つ困った事があると云うものは、あの供がいるから、是《こ》れを聞き付け喋られると
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