、お國源次郎を取逃がすような事になろうも知れぬから、こうと……」
 思案して、
「私は明日《あす》の朝供を連れて出立するから、今日のようにお前が見え隠れに跡を追って来て、休む所も泊る所も一つ所にして、互に口をきかず、知らない者の様にして置いて、宇都宮の杉原町へ往ったら供を先へ遣《や》って置いて、そうして両人で相図《あいず》を諜《しめ》し合《あわ》したら宜《よ》かろうね」
孝「お母様有り難う存じます、それでは何うかそういう手筈《てはず》に願いとう存じます、私《わたくし》はこれより直《すぐ》に宅《たく》へ帰って、舅へ此の事を聞かせたなら何《ど》のように悦びましょう、左様なら明朝早く参って、此の家《うち》の門口に立って居りましょう、それからお母様先刻つい申上げ残しましたが、私は相川新五兵衞と申す者の方《かた》へ主人の媒妁《なかだち》で養子にまいり、男の子が出来ました、貴方様には初孫の事故お見せ申したいが、此の度《たび》はお取急ぎでございますから、何《いず》れ本懐を遂げた後《あと》の事にいたしましょう」
りゑ「おやそうかえ、それは何《な》にしても目出度い事です、私も早く初孫の顔が見たいよ、それ
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