りゑ「おやマア不思議な事じゃアないか、あの源次郎とお國は私の宅《うち》にかくまってありますよ、どうもまア何《なん》たる悪縁だろう、不思議だねえ、私が廿六の時黒川の家《うち》を離縁になって国へ帰り、村上に居ると、兄が頻《しき》りに再縁しろとすゝめ、不思議な縁でお出入の町人で荒物の御用を達《た》す樋口屋《ひのくちや》五|兵衞《へえ》と云うものゝ所へ縁付くと、そこに十三になる五郎三郎《ごろさぶろう》という男の子と、八ツになるお國という女の子がありまして、其のお國は年は行《い》かぬが意地の悪いとも性《しょう》の悪い奴で、夫婦の合中《あいなか》を突《つッ》ついて仕様がないから、十一の歳《とし》江戸の屋敷奉公にやった先は、水道端の三宅という旗下でな、其の後《ご》奥様|附《づき》で牛込の方へ行ったとばかりで後《あと》は手紙一本も寄越さぬくらい、実に酷《ひど》い奴で、夫五兵衞が亡くなった時も訃音《しらせ》を出したに帰りもせず、返事もよこさぬ不孝もの、兄の五郎三郎も大層に腹を立っていましたが、其の後《ご》私共は仔細有って越後を引払い、宇都宮の杉原町《すぎはらまち》に来て、五郎三郎の名前で荒物屋の店を開い
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