種々話もしたい事があるから斯うしよう、私は今|馬喰町《ばくろちょう》三丁目|下野屋《しもつけや》という宿屋に泊っているから、お前よ一ト足先へ帰り、供を買物に出すから、其の後《あと》へ供に知れないように上《あが》っておいで」
白「嘸《さぞ》嬉しかろうのう」
孝「さようならば、これから直《すぐ》見え隠《がく》れにお母様のお跡に付いて参りましょう、それはそうと」
と云いつゝも懐中より何程か紙に包んで見料を置き、厚く礼を述べ白翁堂の家を立出《たちい》で、見え隠れに跡をつけ、馬喰町へまいり、下野屋の門辺《かどべ》に佇《たゝず》み待って居《お》るうちに、供の者が買ものに出て行《ゆ》きましたから、孝助は宿屋に入《はい》り、下女《おんな》に案内を頼んで奥へ通る。
りゑ「サア/\/\此処《こゝ》へ来な、本当にマアどうもねえ」
と云いながら孝助をつく/″\見て、
「見忘れはしませぬ幼顔《おさながお》、お前の親御孝藏殿によく似ておいでだよ、そうして大層立派におなりだねえ、お前がお父様《とっさま》の跡を継いで、今でもお父様はお存生《ぞんしょう》でいらッしゃるかえ」
孝「はい、お母様此の両隣の座敷には誰も居
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