存じませんが、只今四つの時に別れたと仰しゃいます、その人は本郷丸山|辺《あた》りで別れたのではございませんか、そしてあなたは越後村上の内藤紀伊守様の御家来澤田右衞門様のお妹御ではございませんか」
女「おやまアよく知ってお出《い》でゞす、誠に、はい/\」
孝「そして貴方《あなた》のお名前はおりゑ様とおっしゃって、小出信濃守様の御家来黒川孝藏様へお縁附《かたづき》になり、其の後《ご》御離縁になったお方ではございませんか」
女「おやまア貴方は私《わたくし》の名前までお当てなすって、大そうお上手様、これは先生のお弟子でございますか」
 と云うに、孝助は思わず側により、
孝「オヽお母様《かゝさま》お見忘れでございましょうが、十九年以前、手前四歳の折お別れ申した忰《せがれ》の孝助めでございます」
りゑ「おやまアどうもマア、お前がアノ忰の孝助かえ」
白「それだから先刻《さっき》から逢っている/\と云うのだ」
 おりゑは嬉涙《うれしなみだ》を拭い、
りゑ「何《ど》うもマア思い掛《かけ》ない、誠に夢の様な事でございます、そうして大層立派にお成りだ、斯《こ》う云う姿になっているのだものを、表で逢ったって知
前へ 次へ
全308ページ中265ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング