方《こっち》へお出《い》で」
と又此の女の相をよく/\見て、
「これは悪い相だなア、お前はいくつだえ」
女「はい四十四歳でございます」
白「これはいかん、もう見るがものはない、ひどい相だ、一体お前は目の下に極《ごく》縁のない相だ、それに近々《きん/\》の内|屹度《きっと》死ぬよ、死ぬのだから外に何《なん》にも見る事はない」
と云われて驚き暫《しばら》く思案を致しまして、
女「命数は限りのあるもので、長い短かいは致し方がございませんが、私《わたくし》は一人尋ねるものがございますが、其の者に逢われないで死にます事でございましょうか」
白「フウム是は逢っている訳だ」
女「いえ逢いません、尤《もっと》も幼年の折に別れましたから、先でも私《わたくし》の顔を知らず、私も忘れたくらいな事で、すれ違ったくらいでは知れません」
白「何《なん》でも逢っています、もうそれで外に見る所も何《なに》もない」
女「其の者は男の子で、四つの時に別れた者でございますが」
という側から、孝助は若《も》しやそれかと彼《か》の女の側に膝をすりよせ、
孝「もし、お内室様《かみさん》へ少々伺いますが、何《いず》れの方かは
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