はならん、ずっと精神を凝《こら》して、仮令《たとえ》向うに鉄門があろうとも、それを突切《つッき》って通り越す心がなければなりませんぞ」
孝「有難うござりまする」
良「お舅御さん、これはねえ精進物だが、一体内で拵《こしら》えると云うたは嘘だが、仕出し屋へ頼んだのじゃ、甘《うも》うもあるまいが此の重箱へ詰めて置いたから、二重とも土産に持って帰り、内の奉公人にでも喰わしてやってください」
相「これは又お土産まで戴き、実に何ともお礼の申そうようはございません」
良「孝助殿、お前帰りがけに屹度《きっと》剣難が見えるが、どうも遁《のが》れ難いから其の積りで行《ゆ》きなさい」
相「誰に剣難がございますと」
良「孝助殿はどうも遁れ難い剣難じゃ、なに軽くて軽傷《うすで》、それで済めば宜しいが、何うも深傷《ふかで》じゃろう、間が悪いと斬り殺されるという訳じゃ、どうもこれは遁れられん因縁じゃ」
相「私《わたくし》は最早五十五歳になりまするから、どう成っても宜しいが、貴僧《あなた》孝助は大事な身の上、殊《こと》に大事を抱えて居りまする故、どうか一つあなたお助け下さいませんか」
良「お助け申すと云っても、これは
前へ
次へ
全308ページ中252ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング