ま》申します、今日は種々《いろ/\》御馳走に相成りました、有難うございます」
米「左様なら、今日はまア誠にお草々《そう/\》さま左様なら」
と志丈新三郎の両人は打連《うちつ》れ立《だ》ちて帰りましたが、帰る時にお嬢様が新三郎に
「貴方《あなた》また来て下さらなければ私《わたくし》は死んでしまいますよ」
と無量の情を含んで言われた言葉が、新三郎の耳に残り、暫《しば》しも忘れる暇《ひま》はありませなんだ。
三
さても飯島様のお邸《やしき》の方《かた》にては、お妾お國が腹一杯の我儘《わがまゝ》を働く間《うち》、今度|抱《かゝ》え入れた草履取《ぞうりとり》の孝助《こうすけ》は、年頃二十一二にて色白の綺麗な男ぶりで、今日しも三月二十二日殿様平左衞門様にはお非番でいらっしゃれば、庭先へ出《い》て[#「出《い》て」はママ]、彼方此方《あちらこちら》を眺めおられる時、此の新参の孝助を見掛け。
平「これ/\手前は孝助と申すか」
孝「へい殿様には御機嫌|宜《よろ》しゅう、私《わたくし》は孝助と申しまする新参者でございます」
平「其の方は新参者でも蔭日向《かげひなた》なくよく働くと
前へ
次へ
全308ページ中26ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング