らつき》の魚を三品ばかりに、それからよいお菓子を少し取ってくるように、道中には余り旨いお菓子はないから、それから鮓《すし》も道中では良いのは食べられないから、鮓も少し取ってくるように、それから孝助殿は酒はあがらんから五合ばかりにして、味淋《みりん》のごく良いのを飲むのだから二合ばかり、それから蕎麦《そば》も道中にはあるが、醤油《したじ》が悪いから良い蕎麦の御膳の蒸籠《せいろう》を取って参れ、それからお汁粉も誂《あつ》らえてまいれ」
と種々《いろ/\》な物を取寄せ、其の晩はめでたく祝しまして床に就《つ》きましたが、其の夜《よ》は話も尽きやらず、長き夜も忽《たちま》ち明ける事になり、翌日刻限を計り、孝助は新五兵衞と同道にて水道端を[#「水道端を」は底本では「水道橋を」]立出《たちい》で切支丹坂《きりしたんざか》から小石川にかゝり、白山《はくさん》から団子坂《だんござか》を下《お》りて谷中の新幡随院へ参り、玄関へかゝると、お寺には疾《と》うより孝助の来るのを待っていて、
良「施主が遅くって誠に困るなア、坊主は皆《みんな》本堂に詰懸《つめか》けているから、さア/\早く」
と急《せ》き立てら
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