たか」
孝「まだ仇には廻《めぐ》り逢いませんが、主人の法事をしたく一先ず江戸表へ立帰りましたが、法事を致しまして直《すぐ》に又出立致します」
相「フウ成程、明日《あす》法事に行《ゆ》くのだねえ」
孝「左ようでございます、お父様と私《わたくし》と参りまする積りでございます、それに良石和尚の智識なる事は予《かね》て聞き及んではいましたが、応験解道《おうけんげどう》窮《きわま》りなく、百年先の事を見抜くという程だと承わっておりまするが、今日和尚の云う言葉に其の方は水道端へ参るだろう、参る時は必ず待っている者があり、且《かつ》慶《よろこ》び事があると申しましたが、私の考えは、斯《か》く子供の出来た事まで良石和尚は知っておるに違い有りません」
相「はてねえ、そんな所まで見抜きましたかえ、智識なぞという者は趺跏量見智《ふかりょうけんち》で[#「趺跏量見智《ふかりょうけんち》で」は底本では「跌跏量見智《ふかりょうけんち》で」]、あの和尚は谷中の何とか云う智識の弟子と成り、禅学を打破ったと云う事を承わりおるが、えらいものだねえ、善藏や、大急ぎで水道町の花屋へ行って、おめでたいのだから、何かお頭付《かし
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