伴藏は志丈と二人連れ立って江戸へ参り、根津の清水の花壇より海音如来の像を掘出す処から、悪事露顕の一|埓《らつ》はこの次までお預りに致しましょう。

        十九

 引続きまする怪談牡丹灯籠のお話は、飯島平左衞門の家来孝助は、主人の仇《あだ》なる宮野邊源次郎お國の両人が、越後の村上へ逃げ去りましたとのことゆえ、跡を追って村上へまいり、諸方を詮議致しましたが、とんと両人の行方が分りませんで、又我が母おりゑと申す者は、内藤紀伊守《ないとうきいのかみ》の家来にて、澤田右衞門《さわだうゑもん》の妹《いもと》にて、十八年以前に別れたが、今も無事でいられる事か、一目お目に懸りたい事と、段々御城中の様子を聞合《きゝあわ》せまする処、澤田右衞門夫婦は疾《とく》に相果て、今は養子の代に相成って居《お》る事ゆえ母の行方さえとんと分らず、止《や》むを得ず此処《こゝ》に十日ばかし、彼処《あすこ》に五日逗留いたし、彼方此方《あちこち》と心当りの処《ところ》を尋ね、深く踏込んで探って見ましたけれども更に分らず、空《むな》しく其の年も果て、翌年に相成って孝助は越後路から信濃路へかけ、美濃路へかゝり探しました
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