酷《ひど》い奴ですから、今夜はあの医者を何処《どっ》かへやって、貴方《あなた》独りこゝに泊っていて下さいな、そうすれば内の人を寝かして置いて、貴方の所へ来て、いろ/\お話もしたい事がありますから宜《よ》うございますか」
伴「よし/\、それじゃア内の方をいゝ塩梅《あんべい》にして屹度《きっと》来《き》ねえよ」
國「屹度来ますから待っておいでよ」
 とお國は伴藏に別れ帰り行《ゆ》く。
伴「やア志丈さん、誠にお待ちどう」
志「誠にどうも、アハヽあの女はもう四十に近いだろうが若いねえ、君もなか/\お腕前《うでめえ》だね、大方君はあの婦人を喰っているのだろうが、これからはもう君と善悪を一ツにしようと約束をした以上は、君のためにならねえ事は僕は云うよ、一体君はあの女の身の上を知って世話をするのか知らないのか」
伴「おらア知らねえが、お前《めえ》さんは心安いのか」
志「あの婦人には男が附いて居る、宮野邊源次郎と云って旗下《はたもと》の次男だが、其奴《そいつ》が悪人で、萩原新三郎さんを恋慕《こいした》った娘の親御《おやご》飯島平左衞門という旗下の奥様|附《づき》で来た女中で、奥様が亡くなった所から手が
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