金が入ると浮気になったようだから、一|杯《ぺい》飲みながら、緩《ゆる》りと昔語《むかしがたり》がしてえのだが、こゝの家《うち》ア陰気だから、これから何処《どこ》かへ行って一杯やろうじゃアねえか」
伴「そいつは宜《よ》かろう、そんなら己《おい》らの馴染の笹屋へ行《ゆ》きやしょう」
と打連立《うちつれだ》って家《うち》を立出《たちい》で、笹屋へ上り込み、差向いにて酒を酌交《くみかわ》し、
伴「男ばかりじゃア旨くねえから、女を呼びにやろう」
とお國を呼寄せる。
國「おや旦那、御無沙汰を、よく入《いら》っしゃって、伺《うかゞ》いますればお内儀《かみ》さんは不慮の事がございましたと、定めて御愁傷な事で、私も旦那にちょいとお目に懸りたいと思っておりましたは、内の人の傷も漸《ようや》く治り、近々《きん/\》のうち越後へ向けて今|一度《ひとたび》行《ゆ》きたいと云っておりますから、行った日には貴方にはお目に懸ることが出来ないと思っている所へお使《つかい》で、余《あんま》り嬉しいから飛んで来たんですよ」
伴「お國お連《つれ》の方に何故御挨拶をしないのだ」
國「これはあなた御免遊ばせ」
と云いながら
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