亦《また》おみねを連れ、百両の金を掴《つか》んで此の土地へ引込《ひっこ》んで今の身の上、ところが己が他《わき》の女に掛り合った所から、嚊《かゝ》アが悋気《りんき》を起し、以前の悪事をがア/\と呶鳴《どな》り立てられ仕方なく、旨く賺《だま》して土手下へ連出して、己が手に掛け殺して置いて、追剥に殺されたと空涙で人を騙《だま》かし、弔《とむら》いをも済《すま》して仕舞った訳なんだ」
志「よく云った、誠に感服、大概の者ならそう打明けては云えぬものだに、己が殺したと速《すみやか》に云うなどは是は悪党アヽ悪党、お前にそう打明けられて見れば、私はお喋りな人間だが、こればッかりは口外はしないよ、其の代り少し好《この》みがあるが何《ど》うか叶えておくれ、と云うと何か君の身代でも当てにするようだが、そんな訳ではない」
伴「あゝ/\それはいゝとも、どんな事でも聞きやしょうから、どうか口外はして下さるな」
と云いながら懐中より廿五両包を取出し、志丈の前に差置いて、
伴「少《すく》ねえが切餅《きりもち》をたった一ツ取って置いてくんねえ」
志「これは云わない賃かえ薬礼ではないね、宜しい心得た、何《なん》だかこう
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