どんな塩梅《あんべい》だ」
ます「伴藏さん貝殻骨から乳の下へ掛けてズブ/\と突《つき》とおされた時の痛かったこと」
文「旦那様変な事を云いやす」
伴「おます、気を慥《たし》かにしろ、風でも引いて熱でも出たのだろうから、蒲団《ふとん》を沢山《たんと》かけて寝かしてしまえ」
 と夜着《よぎ》を掛けるとおますは重い夜着や掻巻《かいまき》を一度にはね退《の》けて、蒲団の上にちょんと坐り、じいッと伴藏の顔を睨《にら》むから、
文「変な塩梅《あんべい》ですな」
伴「おます、確《しっ》かりしろ、狐にでも憑《つ》かれたのじゃアないか」
ます「伴藏さん、こんな苦しい事はありません、貝殻骨のところから乳のところまで脇差の先が出るほどまで、ズブ/\と突かれた時の苦しさは、何《なん》とも彼《か》とも云いようがありません」
 と云われて伴藏も薄気味悪くなり、
伴「何を云うのだ、気でも違いはしないか」
ます「お互に斯《こ》うして八年|以来《このかた》貧乏世帯を張り、やッとの思いで今はこれ迄になったのを、お前は私を殺してお國を女房にしようとは、マア余《あんま》り酷《ひど》いじゃアないか」
伴「これは変な塩梅《あんべ
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