うに引《ひっ》こ抜き、物をも云わず背後《うしろ》から一生懸命力を入れて、おみねの肩先目がけて切り込めば、キャッとおみねは倒れながら伴藏の裾《すそ》にしがみ付き、
みね「それじゃアお前は私を殺して、お國を女房に持つ気だね」
伴「知れた事よ、惚れた女を女房に持つのだ、観念しろ」
と云いさま、刀を逆手《さかて》に持直し、貝殻骨《かいがらぼね》のあたりから乳の下へかけ、したゝかに突込《つきこ》んだれば、おみねは七顛八倒の苦しみをなし、おのれ其の儘《まゝ》にして置こうかと、又も裾へしがみつく。伴藏は乗掛《のしかゝ》って止《とゞ》めを刺したから、おみねは息が絶えましたが、何《ど》うしてもしがみついた手を放しませんから、脇差にて一本々々指を切り落し、漸《ようや》く刀を拭《ぬぐ》い、鞘《さや》に納め、跡をも見ず飛ぶが如くに我家《わがや》に立帰り、慌《あわたゞ》しく拳《こぶし》をあげて門《かど》の戸を打叩《うちたゝ》き、
伴「文助、一寸《ちょっと》こゝを明けてくれ」
文「旦那でございますか、へいお帰り遊ばせ」
と表の戸を開く。伴藏ズッと中《うち》に入り、
伴「文助や、大変だ、今土手で五人の追剥《おい
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