》に行った時に、あの海音如来の金無垢《きんむく》のお守を持って来て、此処《こゝ》へ埋めて置いたのだから、掘出《ほりだ》そうと思って来たんだ」
みね「あらまアお前はそれまで隠して私に云わないのだよ、そんなら早く人の目つまにかゝらないうちに掘ってお仕舞いよ」
伴「これは掘出して明日《あした》古河《こが》の旦那に売るんだ、何《なん》だか雨がポツ/\降って来たようだな、向うの渡し口の所からなんだか人が二人ばかり段々こっちの方へ来るような塩梅《あんべい》だから、見ていてくんねえ」
みね「誰も来《き》やアしないよ、どこへさ」
伴「向うの方へ気を付けろ」
という。向うは往来《おうらい》が三叉《みつまた》になっておりまして、側《かた》えは新利根《しんとね》大利根《おおとね》の流《ながれ》にて、折《おり》しも空はどんよりと雨もよう、幽《かす》かに見ゆる田舎家《いなかや》の盆灯籠《ぼんどうろう》の火もはや消えなんとし、往来《ゆきゝ》も途絶《とだ》えて物凄《ものすご》く、おみねは何心《なにごゝろ》なく向うの方へ目をつけている油断を窺《うかゞ》い、伴藏は腰に差したる胴金造《どうかねづく》りの脇差を音のせぬよ
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