たゞが、そうけえ旦那どんが云ったけえ、おれ困ったなア」
みね「旦那は私に云って仕舞ったよ、お前と時々一緒に行くんだろう」
久「あの阿魔女《あまっちょ》は屋敷者だとよ、亭主は源次郎さんとか云って、足へ疵《きず》が出来て立つ事が出来ねえで、土手下へ世帯《しょたい》を持っていて、女房は笹屋へ働き女をしていて、亭主を過《すご》しているのを、旦那が聞いて気の毒に思い、可愛相にと思って、一番始め金え三分くれて、二度目の時二両|後《あと》から三両それから五両、一ぺんに二十両やった事もあった、ありゃお國さんとか云って廿七だとか云うが、お前《めえ》さんなんぞより余程《よっぽど》綺《き》…ナニお前《まえ》さまとは違《ちげ》え、屋敷もんだから不意気《ぶいき》だが、なか/\美《い》い女だよ」
みね「何かえ、あれは旦那が遊びはじめたのは何時《いつ》だッけねえ、ゆうべ聞いたがちょいと忘れて仕舞った、お前知っているかえ」
久「四月の二日からかねえ」
みね「呆れるよ本当にマア四月から今まで私に打明けて話しもしないで、呆れかえった人だ、どんなに私が鎌を掛けて宅《うち》の人に聞いても何《なん》だの彼《か》だのとしらばっく
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