出たり出たり引込んだり、恰《まる》で鵜《う》の水呑《みずのみ》/\」
と噪《さわ》ぎどよめいている処《ところ》へ下女のお米|出《い》で来《きた》り
「嬢様から一|献《こん》申し上げますが何もございません、真《ほん》の田舎料理でございますが御緩《ごゆる》りと召上り相変らず貴方《あなた》の御冗談を伺《うかゞ》いたいと仰《おっ》しゃいます」
と酒肴《さけさかな》を出《い》だせば、
志「何《ど》うも恐入りましたな、へい是はお吸物誠に有難うございます、先刻《さっき》から冷酒《れいしゅ》は持参致しておりまするが、お燗酒《かんしゅ》は又格別、有難うございます、何卒《どうぞ》嬢様にも入《いら》っしゃるように今日は梅じゃアない実はお嬢様を、いやなに」
米「ホヽヽヽ只今左様申し上げましたが、お連《つれ》のお方は御存じがないものですから間が悪いと仰しゃいますから、それならお止《よ》し遊ばせと申し上げた処《ところ》が、それでも往《い》って見たいと仰しゃいますの」
志「いや、此《これ》は僕の真《しん》の知己《ちかづき》にて、竹馬の友と申しても宜《よろ》しい位なもので、御遠慮には及びませぬ、何卒《どうぞ》ちょ
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