んだはたごちょう》辺へ引越《ひっこ》しました。伴藏おみねはこれを機《しお》に、何分怖くて居《い》られぬとて、栗橋《くりはし》在は伴藏の生れ故郷の事なれば、中仙道栗橋へ引越しました。

        十七

 伴藏は悪事の露顕を恐れ、女房おみねと栗橋へ引越《ひっこ》し、幽霊から貰った百両あれば先《ま》ずしめたと、懇意の馬方|久藏《きゅうぞう》を頼み、此の頃は諸式が安いから二十両で立派な家《うち》を買取り、五十両を資本《もとで》に下《おろ》し荒物見世《あらものみせ》を開きまして、関口屋《せきぐちや》伴藏と呼び、初めの程は夫婦とも一生懸命働いて、安く仕込んで安く売りましたから、忽《たちま》ち世間の評判を取り、関口屋の代物《しろもの》は値が安くて品がいゝと、方々《ほう/″\》から押掛けて買いに来るほどゆえ、大いに繁昌を極《きわ》めました。凡夫盛んに神祟りなし、人盛んなる時は天に勝つ、人定まって天人に勝つとは古人の金言|宜《うべ》なるかな、素《もと》より水泡銭《あぶくぜに》の事なれば身につく道理のあるべき訳はなく、翌年の四月頃から伴藏は以前の事も打忘れ少し贅沢《ぜいたく》がしたくなり、絽《ろ》
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