あの事を早くも覚《さと》ったろうと不思議に思いながら帰って来て、
白「伴藏、貴様も萩原様には恩になっているから、野辺の送りのお供をしろ」
 と跡の始末を取り片付け、萩原の死骸は谷中の新幡随院へ葬ってしまいました。伴藏は如何《いか》にもして自分の悪事を匿《かく》そうため、今の住家《すまい》を立退《たちの》かんとは思いましたけれども、慌《あわ》てた事をしたら人の疑いがかゝろう、あゝもしようか、こうもしようかとやっとの事で一策を案じ出《いだ》し、自分から近所の人に、萩原様の所へ幽霊の来るのを己が慥《たし》かに見たが、幽霊が二人でボン/\をして通り、一人は島田髷《しまだまげ》の新造《しんぞ》で、一人は年増で牡丹の花の付いた灯籠を提《さ》げていた、あれを見る者は三日を待たず死ぬから、己は怖くて彼処《あすこ》にいられないなぞと云触《いいふら》すと、聞く人々は尾に尾を付けて、萩原様の所へは幽霊が百人来るとか、根津の清水では女の泣声がするなど、さま/″\の評判が立ってちり/″\人が他《ほか》へ引起《ひっこ》してしまうから、白翁堂も薄気味悪くや思いけん、此処《こゝ》を引払《ひきはら》って、神田旅籠町《か
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