けて居る守を取って呉れ」
伴「怖いから私《わっち》ゃアいやだ」
白「おみね、こゝへ来な」
みね「私《わたくし》もいやですよ」
白「何しろ雨戸を明けろ」
 と戸を明けさせ、白翁堂が自ら立って萩原の首に掛けたる白木綿の胴巻を取外《とりはず》し、グッとしごいてこき出せば、黒塗|光沢消《つやけし》の御厨子にて、中を開けばこは如何《いか》に、金無垢の海音如来と思いの外《ほか》、いつしか誰か盗んですり替えたるものと見え、中は瓦に赤銅箔《しゃくどうはく》を置いた土の不動と化《け》してあったから、白翁堂はアッと呆れて茫然と致し、
白「伴藏これは誰が盗んだろう」
伴「なんだか私《わっち》にゃアさっぱり訳が分りません」
白「これは世にも尊《とうと》き海音如来の立像にて、魔界も恐れて立去るという程な尊い品なれど、新幡随院の良石和尚が厚い情《なさけ》の心より、萩原新三郎を不便《ふびん》に思い、貸して下され、新三郎は肌身放さず首にかけていたものを、何《ど》うして斯様《かよう》にすり替えられたか、誠に不思議な事だなア」
伴「成程なア、私《わっち》どもにゃア何《なん》だか訳が分らねえが、観音様ですか」
白「伴藏手前
前へ 次へ
全308ページ中196ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング